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税務調査

税務調査の種類

 一般に税務調査と呼ばれているものは、法的・手続的観点からは、以下の3つに分類されます。

  • 純粋な任意調査

 罰則を背景にしない任意調査のことを意味し、法的には必ずしも調査に応じる義務はありません。

  • 質問検査権による調査

 強制力があるわけではありませんが、正当な理由なく拒否すると罰則が適用されるので、事実上の強制力が働く調査のことを意味します。

  • 強制調査

 国税犯則取締法に基づき裁判所の令状により行われる強制調査のことを意味します。

 

質問検査権について

 このうち、質問検査権は、あくまで調査について「必要があるとき」にのみなされるべきものであり、税務職員に完全な自由裁量が与えられているわけではありません。調査の目的からみて「客観的必要性」がない事項について質問検査権を行使することは違法となります。

 この点に関して、最高裁昭和48年7月10日判決は、質問検査権を認めた所得税法234条1項の規定について、「国税庁、国税局または税務署の調査権限を有する職員において、当該調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、相手方の事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合には、前記職権調査の一方法として、同条1項各号規定の者に対し質問し、またはその事業に関する帳簿、書類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行なう権限を認めた趣旨であって、この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている」と述べています。

 このように、税務職員の質問調査権は無制限に認められているわけではありませんので、網羅的な税務調査の中で、その質問の内容や提示が求められる資料の内容が相続人らのプライバシーに直結し、あるいは調査との関連性が明らかでないような場合には、税務職員に対して、調査との関連性等に関する説明を求めるべきです。そして、適切な説明がなされない場合には、合理的な説明がなされるまで回答や資料の提示を保留するという対応も考えられます。

 また、質問検査権の許容範囲について、京都地裁平成7年3月27日判決は、「質問検査権に対して、相手方は、間接的心理的に強制を受けるに過ぎず、それ以上の直接的物理的強制を受けるものではないのであるから、質問検査権行使の範囲、方法、程度等については、質問検査の必要性と相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、税務職員の合理的選択に委ねられているというべきであるが、直接的物理的強制にわたることは許されないのであって、相手方の承諾が全くない状態で質問及び検査することはできないといわねばならない。」と述べ、税務職員が承諾なく居宅部分である二階へ上がった行為について、違法であると結論付けています。

 裁判例が示すとおり、質問検査権は、税務職員に対して直接的物理的強制力を認めるものではありません。したがって、勝手に家の中を動き回り、勝手に机の引き出しの中を確認したり、金庫を開けたり、パソコンの中のデータをチェックしたりする行為は、違法な調査であると認定される可能性があります。

 一方で、正当な理由なく検査を拒否すると、刑事罰の対象となりかねませんので、このような場合には、税務職員に対して、そのような行為をする目的や理由、必要性について、十分な説明を求めるべきであると考えられます。

以 上

(執筆: 元氏 成保)

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